クルマの『ここに気を付けよう』というメンテナンスのツボを 不定期にお伝えしていきます
普段はあまり気にしないけど、雨や雪が降れば必ずと言っていいほど使うものに 「ワイパー」が挙げられると思います。
【ワイパー】は、車に関する法令の条文では窓ふき器という名前で明記されていて、 装備が必須な保安部品です。 そんなワイパーですが、実は100年以上、基本構造は変わっていないとご存知 でしたか? もちろん材質や形状の変化はありますが、構造自体はほぼ発明当時の ままなのです。
誕生のきっかけは1903年、冬のアメリカ。 とある女性の乗車していた路面電車は、 悪天候のためフロントガラスについた雪や氷を、運転士がたびたび電車を止めては 外に出て取り除いていたのです。その姿を見ていた女性は”車内からの操作で、雨や雪を払える装置を作ろう”と思い立ったといいます。
幾つかの試作の末、木とゴムで作ったアームにバネを仕込んだ部品を窓の外に設置、 それを車内のレバーと繋いで操作する装置を完成させました。 一度の操作で左右に往復するこの仕組みは、現存ワイパーの基本構造の元になったと 言われています。 そして遂に1922年、キャデラックが自動車メーカーとして初となるワイパーを採用し、標準装備としました。 当初は手動や、エンジンで作った真空を利用しての作動 でしたが、1926年にはボッシュ社により電動化されました。 その後1960年代には、間欠式が誕生しました。その間欠式も今や作動間隔を調整できたり、ワイパーの作動自体も自動になったりと、進化が止まりません。
そんなワイパーですが、やはり定期的なメンテナンスが必要です。
ワイパーの重要部分といえば、もちろん「ゴム」です。 ここが劣化すると、窓拭き器本来の役目を果たせないばかりか、視界不良による運転は非常に危険です。
ワイパーのゴムは常に過酷な状況下にあると言っても過言ではありません。 均一にムラのない払拭性能を保つために、強いバネの力でフロントガラスに押し付けられ続け、紫外線や熱気・冷気に晒されながらも、水分の他に虫や鳥のフンなどをキレイに落としてくれるのです。
視界不良防止のためワイパーメーカー各社は、年に一度の交換を推奨しています。
交換の目安としましては、ワイパーを作動させた時に
・フロントガラスに拭き筋や拭き残しまたは拭きムラがある
・スムーズに動かずにビビる
などが見られましたら交換時期と思って良いでしょう。 また、ワイパー作動後すぐクリアにならずギラギラしたり、白っぽさが残ったりしたら、ワイパー交換と合わせてガラスクリーニングの検討もオススメします。
安全運転のためには、まずは良好な視界の確保です。 見えにくい状態での運転ほど怖いものはありません。天候不良時の夜間は特に・・・
普段はあまり動かすこともないので、地味な存在かもしれないワイパーですが、 きっちり仕事をしてくれます。 ときどき気になさって、メンテナンスをしていただければと思います。
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年々暑さが厳しくなる夏。走行中や停車中を問わずにクーラーを常にフル稼働状態で使用されていた方も多いハズ。 いつものようにナビやオーディオ等の電装品を使いさらに携帯電話等を充電しているとますますバッテリーへの負担は大きくなり確実にダメージとして蓄積されます。 性質上、『暑さ』と『寒さ』に弱いのがバッテリーです。つまり、夏は凌げても冬になってトラブルが発生する。なんてことも十分ありえます。
JAFによるロードサービス出動件数の第1位は「バッテリー」に関することだそうで、主な原因はバッテリー上がり。 その多くはライト類の消し忘れや半ドアなどで室内灯の点灯による過放電ですが、なかにはごく稀にオルタネーター(発電機)の故障による充電不良だったなんてこともあります。 バッテリーが上がってしまいエンジンが動かないと、予定は大幅に遅れ、場合によっては人様に迷惑をかけてしまいかねません。
バッテリー上がりは突然のトラブルのようですが実は『サイン』を出してるんです。 そこでいくつかあるサインを確認したいと思います。
その前にまずはバッテリーの寿命についてご説明いたします。 一般的には約3年前後と言われていますが、クルマの使用状況によって変わってきます。 例えば、近距離運転(チョイ乗り)や月に数回しか運転しない、または夜間走行が多いなどではバッテリーの寿命を縮めてしまう恐れがあります。 やはり月平均1,000Km程度走行されているとバッテリーは長く使えたりします。なかには”9年無交換”という奇跡的なクルマもありました。
それでもやがて寿命は来ます。
劣化のサインは、気にしなければ正直分かりにくいかもしれません。分かりにくいが為に見過ごしてしまい、劣化が進み突然エンジンがかからなくなるというわけです。 それではどのような現象(症状)が劣化のサインなのかというと
・スターター(セルモーター)の回り方がいつもと違う ・ライト類の明るさがエンジンの回転数 または 方向指示器の点滅するタイミングで 変化する ・通常の使用でアイドリングストップをしなくなった ・ラジオの周波数や時計がリセットされていた
これらのなかでひとつでも思い当たる症状があれば、バッテリー交換の検討をされてもいいかと思います。 もしサインにお気づきでしたら バッテリー診断 をお勧めします。やはり見た目ではわかりませんので、専用の診断機で一度チェックしてみましょう。
当店では車検を含む定期点検の際に無料でバッテリー診断を行なっております。また点検時期ではなくても、ご用命頂ければ随時無料でバッテリー診断いたします。
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「ピンチカット」という言葉をご存知ですか? もちろん『そんなの知ってる』という方もおいででしょうが、『初めて聞いた』という方もいらっしゃるのではないでしょうか? 恥ずかしながら私、最近知りました・・・
このピンチカットとはタイヤトラブルの名称で運転をするのに非常に危険な状態になる症状です。
どういうことかと申しますと、タイヤの側面(サイドウォール)にコブ状の膨らみができてしまう症状で、そこを起点としていつ破裂(バースト)してもおかしくない状態のことを言います。 パンクなどと違いドライバーもしくは同乗者に”異変”として気付きにくいため、適切な処置をせずに使用し続けると最悪な場合、 破裂による車両コントロール不能状態となり事故を起こしてしまうことが考えられます。
なぜピンチカットが起きてしまうかと言いますと、原因はいくつかありますが主な例は
・縁石などに乗り上げる または 強く接触する ・空気圧が適正値より低い
などが挙げられます。 それぞれご説明いたします。
その前にタイヤの構造についてお話しさせて頂きます。 一見するとゴムの塊または単なるゴム製品のように感じますが実はその構造は複雑で大きく分けて”3つの部品”で出来ています。 まず、金属製とナイロン製の糸でそれぞれシート状やワイヤー状のパーツを作ります。それらを適正サイズにカットして『骨格』を作成します。その骨格に前もって製造された合成ゴムでコーティングすることでタイヤの”部品のひとつ”が完成します。これらの工程を他の部位ごと同時に行いそれぞれ作られた”部品”を貼り合わせ(組み立て)ることで1本の【生タイヤ】が完成します。しかし製品として出荷されるまでにはさらにいくつもの工程がありますのでここでは割愛させて頂きます。 余談ですが、高学歴の奥様を持つご主人がその奥様にご主人所有車両タイヤのインチアップを相談したところ、 「ホイールだけ買えばいいんじゃない?タイヤはゴムだもん、伸びるでしょ?」 と言われ、目をパチクリしたというのです。頭のいい人は視点や観点が違う!と感心したそうです。その話を聞いた私は奥様のファンになりました。・・・失礼しました。話を戻します。
それでは『縁石などに乗り上げる または 強く接触する』とタイヤはどうなるのかをご説明いたします。 そもそもタイヤ側面は接地面(トレッド)に比べ弱く薄く作られています。その理由は、車体を支えるバネとなり、路面からの衝撃を緩和し、操舵時などに変形(屈曲)することで車両の急激な動きを抑えるなどの役割があるからです。 そこに通常よりも強い衝撃が加わるとタイヤ側面は激しく変形しカーカスと呼ばれる内部部位が切れるなどの損傷を負いその部分のゴムが空気圧により徐々に押し出され膨らむというわけです。
では『空気圧が適正値より低い』とタイヤはどうなるのかというと、回転する度カーカスが車重により曲がり、解放によって伸びたりを繰り返します。するとやがて金属疲労で切れてしまうということになります。なので先述の例と比べると複数箇所で損傷してしまう可能性があります。そして先ほどと同様に膨らんでしまします。 膨らんだ部分はゴム風船と同じでとても弱くなりちょっとしたきっかけで破裂する危険が生じてしまいます。 また高速走行時にはスタンディングウェーブと呼ばれる現象が起こり、これもまた破裂につながる危険性があります。
これらの要因でピンチカットが起きてしまった場合どう処置すればいいのかと申しますと、タイヤの交換です。 接地面の損傷ならば修理は可能ですが、先に申しました通り側面が薄く作られているため今の技術では修理は不可能だからです。
このピンチカットを防ぐにはどうすればいいのか? それは 「空気圧を適正値に保つ事」 「段差を通過する際は充分減速する事」 「過積載をしない事」 ではないでしょうか。 もしタイヤに強い衝撃を加えてしまったら、数日間は注意深く観察してみましょう。そして小さくても膨らみを見つけたらすぐに整備工場などでタイヤ交換をしてもらいましょう。
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